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高森明勅
2015.7.12 08:00

ギリシャ、多忙は悪

古代ギリシャの労働観について、以下のような指摘がある。

職人の活動…は真の活動ではない。
それは…
目的に従属して動く不完全な運動である。
…真の活動(
プラークシス)とは、『何も作らないこと』、

非生産的活動である。

いっさいの労働から解放されていることが人間の本性にふさわしい

…食糧の生産は…今や実質上奴隷の仕事になる。

食糧生産であれ、対人サーヴィスであれ、
束の間に消費されていく非耐久的なものに携わる仕事は、
決して自由な人間にふさわしくない。

…職人労働は『多忙』のゆえに『魂を育てる』ことができない。

多忙とはひとつの倫理的悪である。

余暇(スコレー)こそ自由人の本性にふさわしい」(今村仁司氏)

ー 以上は、あくまで“古代”ギリシャの労働観を巡る言及。

しかし、眼前のギリシャ危機と照らし合わせて、
奇妙な感慨に囚われてしまうのは、果たして私1人だけか。

ギリシャへの最大の債権国ドイツの、
規律正しい職人の感想を聞いてみたい気がする。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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